あのさぁ。
電車に乗っていた。
進行方向に対して横に向くタイプの座席で、私が座っていたのは、普通座席2つ、そのほか優先座席の車両だ。
優先席の方が多いから、私が乗った時には、いわゆる”優先される人”ではなく(外見がそうであるだけで、中身はどうかはわからないが)、テスト勉強する若者、ゲームをする高校生くらいのオタク集団、肉付きのいいサラリーマン風の男性、ごく普通の女子大生に見える、音楽を聴いた女の子 など が座っていた。
私も座席が空いたから座った。けど、そのあと普通座席も空いたのでそっちに移った。
それから一駅先くらいのことだった。80歳を超えているとみられる老夫婦が優先座席の前に現れたのだ。奥様の方は杖をついていた。もちろん、”優先される人”だ。 私の席からは少し遠くを歩いていた、もちろん優先座席の前。
が、誰1人としていその老夫婦に席を譲る人はいない。全員が若者だ。 見て見ぬ振りをしている。
私はその奥様に席を譲った。少し遠くから声をかけた。
私が奥様に席を譲ったあとも、依然として旦那さんに席を譲るものはいなかった。
席を譲った時は、その人に感謝をされていつも誇らしくなるものだ。
しかし、今日は違った。周りの人の冷たさに対する憤りと悲しさ。
自分が良ければ、他はどうでもいいんだろうか?
自分が手を上げなくても、誰かがやってくれると思っているのか?
いい加減、こんなダサい生き方やめませんか。
私は素直な人間なので、
席を譲らず見て見ぬ振りをしていた人たちに対して、冷酷な視線を送ってしまいました。